STORY

ストーリー

#12 「共鳴トライアングル」

大会まで一週間を切り、気合だけは充分のチカ。しかし、ある日の練習帰り、草壁が交響楽団の男たちと会っているところを、ハルタと一緒に目撃してしまう。指揮者としてオファーを受けたのではと、推測するハルタ。それを知り、落ち込むチカだったが、芹澤から檄を飛ばされて持ち直す。
一方、片桐をはじめ何も知らない部員たちは、今までのお礼も兼ねて、草壁に新しいタクトをプレゼントしようと考えていた。楽器店からの帰り道、自宅とは異なる方へ向かう草壁を見かけたチカとハルタは、思わずそのあとを追うのだった。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 橋本昌和
演出 : 橋本昌和/太田知章
作画監督 : 杉光登/川面恒介/秋山有希/石井明治/鈴木理沙/重本和佳子/福井麻記/大東百合恵

ハルチカトーク#12 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

……。

ハルタ

……。

チカ

何か言いなさいよ、ハルタ。

ハルタ

チカちゃんこそ、普段は壊れたコンポみたいにやかましいのに。今日は大人しいじゃない。

チカ

うん……終わっちゃったんだなぁって思って。ちょっとしんみりしちゃった。

ハルタ

……そっか。

チカ

辛いこともあったけど、楽しかった。練習もいっぱいがんばった。成島さんやマレン、カイユや後藤さん、それに芹澤さん。もちろん片桐部長に香恵・紗恵先輩、他のたくさんのメンバーたちとみんなで……。

ハルタ

たった5人の部活が、いつの間にか大所帯になってたね。A部門の編成には届かないのかもしれないけどさ。

チカ

みんなと一緒に演奏ができたってだけでも、素敵なことだって思うけど……やっぱり大会で結果を残せなかったのは、悔しいよ。

ハルタ

うん、そうだね。でもね、チカちゃん……それはきっと、チカちゃんがいたからだよ。

チカ

なによっ! 銅賞だったのは私のせいだって言いたいの!?

ハルタ

違う違う、みんなと一緒にってこと。もしかしたら、部員になってはくれなかったかもしれない人たち……『成島さんやマレン、カイユや後藤さん、それに芹澤さん』。彼らを吹奏楽部に導いたのはチカちゃんだよ。言ったろ、チカちゃんは人の心を解いたって。

チカ

ハルタ……。うん、ありがと。自分じゃ全然、そんなふうに思ってなかった。

ハルタ

ふふ、チカちゃんはいつも、肝心なことを見逃すんだ。

チカ

なによ、も~。ふふふ。

ハルタ

あははっ。

チカ

……あっ、そういえばさっき、壊れたコンポとかバカにしてたよねっ!

ハルタ

そういうことは見逃さないんだから……って、わわっ、蹴らないでよっ!

#11 「エデンの谷」

エデンの谷

地区大会、県大会を突破し、東海大会を目前に控えた南高吹奏楽部。練習に励んでいたチカたちの元に、謎の旅人風の美女がやって来る。挑発に乗り音楽勝負を挑んだ芹澤を、返り討ちにするほどの実力者だった彼女の名は、山辺真琴。クラビエッタ奏者で、草壁の恩師の孫だという。草壁との親密さに、胸を痛めるチカとハルタは、無粋にも二人の密会を盗み聞こうと試みる。しかし、聞こえてきたのは破産寸前の山辺家に伝わる、貴重なピアノの話だった。

脚本 : 橋本昌和
絵コンテ : 菅沼芙実彦
演出 : 菅沼芙実彦
作画監督 : 川面恒介/秋山有希

ハルチカトーク#11 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

いやぁ、何というかワイルドな人だったね、真琴さん。性格といい、演奏といい。

ハルタ

音楽の腕は確かだったよ、でも、許しがたい点がいくつもあった。

チカ

なんでそんなに刺々しいのよ。

ハルタ

僕はいまだに耳から離れないよ。「信二郎」「真琴」ってファーストネームで呼び合う二人の声……それに、先生への距離感……ああっ!

チカ

もう、意外にメンタル弱いんだから。

ハルタ

チカちゃんと違って繊細なんだ。

チカ

あんたのそのガラスのハートとやら、蹴り壊して欲しい?

ハルタ

傷ついた僕に追い打ちをかけられる、その強心臓と取り替えて欲しいよ。

チカ

あっ! 取り替えると言えば、あの象牙の鍵盤!

ハルタ

切り替えの早さも、チカちゃんのいいところだね……。

チカ

あれって、うん千万円するピアノの鍵盤だったんでしょ?

ハルタ

ベーゼンドルファーのインペリアルモデル。その鍵盤をクラビエッタに移植するなんて、常人の発想じゃないよ。

チカ

可愛い孫娘のためだもん。自分や草壁先生が音楽をやめるよう言っても、きっと続けるだろう……そう思って、いつも真琴さんが手にしているあのクラビエッタに、遺言と一緒に残したんだね。

ハルタ

たった一度のわがままに答えるため、か。僕も一度でいいから、わがままを――

チカ

先生関連のことなら、私が絶対に阻止するから!

ハルタ

こういうときだけチカちゃんは、いい勘するんだよなぁ…。

#10 「ジャバウォックの鑑札」

ジャバウォックの鑑札

二年目の夏、コンクールの地区大会当日。落ち着きなく、どこかへと向かったハルタに気付くチカ。ハルタの後を追ったチカは、大会の取材で来ていた記者の渡邊に話しかけられる。だが、彼の目的は草壁の過去を探ることだった。困惑するチカの前に、巨大な迷い犬を連れたハルタが助けに現れた。チベタン・マスティフという珍しい犬種で、飼い主を探していたハルタだったが、そこにそれは自分の犬だという者が、二人も名乗り出てきてしまう。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 山本秀世
演出 : 熨斗谷充考
作画監督 : 竹内由香里/佐藤友子/横松雄馬/山崎敦子/中野ゆうき/桝井一平/川口弘明/飯村真一/津熊健徳/クズリ

ハルチカトーク#10 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

ちゃんとあのワンちゃんが飼い主の子のところに戻れて良かった!

ハルタ

今度のワンちゃんは、ちゃんと犬だったね。王ちゃんじゃなくて。

チカ

それにしてもあの犬、デカすぎ! ちべ…たんまー……なんだっけ?

ハルタ

チベタン・マスティフ。いま、世界でもっとも高価な犬種の一つと言われてる。

チカ

ふ~ん、珍しい犬だったもんね、でっかくって。あ、それに、名前も! あんな変な名前じゃ、ちっちゃい子は覚えられないよね。じゃー…じゃば~……なんだっけ?

ハルタ

ジャバウォックだよ。さっきからちっちゃい子でもないのに、全然覚えられてないじゃないか。

チカ

おだまり。

ハルタ

そんな、犬に命令する口調で言われても……。

チカ

アルちゃんの方が覚えやすかったのに。そのジャバなんとかって、キャラクターの名前なんだよね、あの子が受け取った「不思議の国のアリス」の。

ハルタ

「不思議の国」、じゃなくて「『鏡』の国」の方。首輪に刻まれたメッセージを、鏡文字として伝えるために。

チカ

じゃあやっぱり、難しい名前にしたのも、あの子の年では難しそうな本を渡したのも……。

ハルタ

大きくなって成長し、それらの謎を解けるようになったら、自分のところに一人で来ることもできるんじゃないかって、あの子のお母さんはきっと考えたんだよ、きっと。

チカ

謎は今回たまたま解けちゃったけど、そのうちお母さんに会えるといいね、ジャバちゃんと一緒に。

#09 「アスモデウスの視線」

アスモデウスの視線

ある日の練習中、過労で草壁が倒れてしまった。間もなく南高にやって来たのは、名門・藤が咲高校の吹奏楽部部員。彼らが言うには、自宅謹慎中となった顧問の堺に代わり、草壁が自分たちを指導してくれていたらしい。堺の謹慎理由も、復帰時期も不明で、草壁への負担を懸念したチカとハルタは、藤が咲に潜入調査へと乗り出した。堺のクラスでひと月に三回も、席替えが行われたことを不審に思ったチカたちは、教育実習生の大河原に接触を図るが……。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 倉川英揚
演出 : 倉川英揚
作画監督 : 鈴木理沙/石井かおり

ハルチカトーク#09 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

ンも~っ! 許しがたい行為だった!

ハルタ

どうしたの、チカちゃん。いつにも増して牛みたいに。

チカ

いつにも増して? 牛? …って、ハルタ! 普段、私をそういう目で見てたの!?

ハルタ

そういう目……そう、今回のキーワードは「目」だ。チカちゃんが怒っていたのも、盗撮に対してのことでしょ?

チカ

う、うん、そうだけど。……なんだか誤魔化された気がする~。

ハルタ

さて、盗撮の行われた教室では、二つの目があったけど、チカちゃんわかる?

チカ

まぁ、一つは盗撮してた赤外線カメラの目だよね。

ハルタ

その通り。そしてもう一つは、堺先生が試していた携帯カメラの目だ。

チカ

あ、盗撮カメラを探してたってやつ。

ハルタ

赤外線は人間の目には見えない、電磁波の波長の短い不可視光線だ。でも、携帯のカメラやデジタルカメラに使われている、CCDやCMOSセンサーにはこの光が映る。

チカ

へぇ~、不思議~。

ハルタ

テレビのリモコンとかにも赤外線が使われているから、もし動かなくなったら、この性質を利用して故障を確認する方法もあるよ。カメラを通して、LEDが光るかどうかを見るんだ。

チカ

あ、それ、修理センターの人から言われたことある! 試してくださいって。

ハルタ

チカちゃんのことだから、電池が切れてるのに気付かないまま、センターに電話したとか?

チカ

え、なんでわかったの!? まさか、私の家にカメラ仕掛けたりしてないよね?

ハルタ

え…っと、チカちゃんの性格を知ってたらきっと、誰でもわかるよ。目がふしあなじゃなければ、ね。

#08 「初恋ソムリエ」

初恋ソムリエ

クラリネットのプロ奏者を目指す芹澤直子がチカの元を訪れる。困っているので力を貸して欲しいというのだ。切羽詰まった様子の芹澤を案じ、チカはハルタを連れ立って初恋研究会の扉を叩く。
部室では芹澤の伯母である響子が、部長の朝霧亨と面談をしていた。自分の初恋を再現するため、初恋ソムリエを自称する朝霧を頼ったと響子は言う。朝霧への不信感を芹澤は露わにするが、どこか陰りを帯びる響子は、チカたちにも思い出を語り始める。

脚本 : 橋本昌和
絵コンテ : 細田直人
演出 : 高橋順
作画監督 : 石井かおり

ハルチカトーク#08 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

ハルタ

岩手まで足を運んで、その日のうちにとんぼ返りなんてね。

チカ

私たちには練習が待っているのよ、仕方ないわ。

ハルタ

でも、駅前のセッションのとき…チカちゃん、いつも以上にのびのびと演奏できてたみたいだよ。

チカ

あ、うん……。誰かが聴いてるって思ったら、なんだかうまくいった感じがするの。運指を一生懸命動かすだけが、いい演奏じゃないって気がして……。

ハルタ

聴衆を意識することは上達への一歩だからね。芹澤さんもチカちゃんのフルートを聴きながら、同じことを考えたんじゃないかな。

チカ

……芹澤さん、これからどうするのかな。

ハルタ

彼女のことが、心配なんだね。

チカ

だって…伯母さんのこと、悲しくて怖い話だったし。他人でもそう思うのに、自分の身内のことなら、どう感じたのかなって。

ハルタ

そうだね。あの時期、あの時代、一部の若者たちは自身を焦がすほどの熱に冒されていた。それはもちろん、未来や希望を胸に抱いてのことだけど、思いが走り過ぎて悲劇を招くことも少なくなかった……。

チカ

…………。

ハルタ

どうしたの、チカちゃん? すごく渋い顔をしてるけど……。

チカ

……たま~に思うんだけど、ハルタってホントに私と同い年?

#07 「周波数は77.4MHz」

周波数は77.4MHz

二度目の四月の新学期。夜の勉強中、チカは偶然耳にしたローカルFM放送に惹きつけられる。それは若いパーソナリティと七人の老人による、自由で無秩序なトーク番組。ハルタもリスナーとわかり、ある投稿について問いただすも、ハルタはそのFM放送自体に興味を示していた。
そんな折、生徒会長の日野原から、奇妙な依頼をされるチカたち。それは元引きこもりたちの集う「地学研究会」の部長、麻生美里を捕まえるということだった。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 熨斗谷充考
演出 : 古田丈司
作画監督 : 新田靖成

ハルチカトーク#07 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

『ダイヤモンドは永遠の輝き』……か。やっぱり、女の子だったら宝石って憧れちゃうよね~。

ハルタ

デ・ビアスだね。マーケティングによるイメージ戦略の最たる成功例って言われてるけど。

チカ

なんか、夢のない言い方するなぁ……。

ハルタ

でも、どちらかというと麻生さんも、女の子的な視点で宝石を見ていたわけじゃなさそうだよ。

チカ

あ、そうそう。地学研究会はどうやって宝石を採掘してたの? ノミとハンマーでカンコンやってたわけじゃないのよね?

ハルタ

彼女たちの『発掘』は、綿密に情報を集め、徒歩で市内を巡ることだった。建材やオブジェに使われている御影石…つまり二次加工された花崗岩を調べていたんだよ。それらの中に大きい結晶が眠っていそうな場所をね。

チカ

えっと、つまり町の中で使われている石の中に、宝石があってたってこと?

ハルタ

そう。生成過程で鉱物粒子が粗く析出したり、内部にできた空洞で純度の高い結晶に育ったりする場合がある。そうしてできた花崗岩で多く見られるものを『ペグマタイト』って言うんだ。彼女たちはそれを探していたのさ。

チカ

ちゃんと説明されたら私にだってわかるのに。私が聞こうとしたら、日野原さんったら「無理に理解しなくていい」とか言ってくれちゃって。

ハルタ

今のもだいぶざっくりとした説明だけどね。きちんと知りたかったら地学の教科書とかを参考に――

チカ

いーのいーの。キュートガールには鉱物図鑑より、ほら、アクセサリーカタログの方が似合うでしょ♪

ハルタ

……チカちゃん。エンゲージリングのページをチェックするのは、何かと早すぎだと思うよ……。

#06 「スプリングラフィ」

スプリングラフィ

それは、春の幻――。まだ春休み中ながら、他の弱小クラブ同様、新入部員確保に精を出すチカ。手続きに来た新入生に声を掛けてはトラブルを起こし、先生から怒られる始末。だが今のチカには、それとは別に気にかかっていることがあった。春休みにも関わらず、朝練前の音楽室に誰かが出入りをしているようなのだ。屋上で自主練中のハルタと合流したチカだったが、どこからかクラリネットの音が響いてきて……。

脚本 : 橋本昌和
絵コンテ : 今泉賢一
演出 : 山本秀世
作画監督 : 杉光 登

ハルチカトーク#06 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

う~ん…。

ハルタ

どうしたの、チカちゃん。珍しく真面目な顔して。

チカ

何よ、その言い方。まるで私が、普段は難しいこと考えてないみたいじゃない。

ハルタ

そんなことないよ。今回はチカちゃん、いいカンしてたと思うけど。芹澤さんの耳のことといい、糸電話といい。

チカ

うん…前に身近でそういうことがあったし、ね。

ハルタ

ところで、それ。マレンのサックスだね?

チカ

あ、うん。イチョー楽器っていうのが、どういうものなのかって思って。

ハルタ

こういう言い方も正確じゃないのかもだけど、すごく簡単に言えば、譜面の音と出す音が違う…ってことかな。

チカ

えーっ、楽器なのに!?

ハルタ

サックスで言えばE♭管、アルトサックスみたいなものと、テナーサックスのようなB♭管と呼ばれるものがある。

チカ

ふんふん。

ハルタ

E♭管で「ラ」の音を吹くと、いわゆる「ド」の音が出る。クラリネットはB♭管だから、「レ」の音を吹かないと「ド」の音が出ないんだ。

チカ

頭がこんがらがって来た……。みんなよく混乱しないなぁ。

ハルタ

その辺りは、譜面の書き換えや、慣れだったりするところだけどね。

チカ

でもまぁ、私はフルートで良かったってことね。頭も胃も痛くするところだった。

ハルタ

そうそう、ただでさえチカちゃんは、やるべきことが山ほどあるんだし。

チカ

あんたはいつも、一言多いの!

#05 「エレファンツ・ブレス」

エレファンツ・ブレス

春休みの学校に現れた不法侵入者、後藤朱里。この春に中学を卒業して、新年度からはチカたちの後輩になるらしい。さらにバストロンボーン奏者である後藤に対し、チカは既に歓迎ムード。そんな後藤がわざわざ忍び込んでまでやって来た理由は、ハルタに会うためだった。どんな謎でも解くというハルタの噂を聞き、その力を頼ってきたのだ。安請け合いするチカに呆れるハルタに、後藤が尋ねる。「エレファンツ・ブレスって、どんな色でしょう?」

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 倉川英揚
演出 : 太田知章
作画監督 : 酒井美佳/鈴木理沙

ハルチカトーク#05 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

ハルタ

チカちゃん、クイズを出すよ。

チカ

ずいぶんと唐突ね、だけどやるからには負けない!

ハルタ

そういうノリの良さが、チカちゃんの長所だよね。

チカ

無駄に煽てられている気がするんだけど、まぁいいや。で、問題って?

ハルタ

うん、これから言う色について、思い浮かぶモノを挙げていってくれないかな。

チカ

例えばハルタが「赤」って言ったら、郵便ポストとかリンゴとか答えればいいの?

ハルタ

そうそう、そんな感じ。じゃあいくよ、「かめのぞき」。

チカ

はぁっ!? 何それ、そんな色あるの?

ハルタ

藍染なんかで言われる、緑がかった薄いブルーのことだよ。小学生のとき、チカちゃんが使ってたカンペンっぽい色かな。

チカ

かめのぞ……あ、ホントにあるんだ、そんな色……。

ハルタ

それじゃあ、次ね。「ニンフズ・サイ」。

チカ

ニ、ニンフ…って、それ…何? ……え、妖精の太腿って意味? そんなの分かんないわよ!

ハルタ

淡いピンク色だよ。僕がある人を見た時のほっぺたみたいな……。

チカ

やめやめっ! そーゆーのももう、一切合切やめーっ!

#04 「ヴァナキュラー・モダニズム」

ヴァナキュラー・モダニズム

冬休み。クリスマスイブも関係なしに、チカたちは練習に励んでいた。そこに突如、ハルタの姉・南風(みなみ)が姿を現す。アパートが取り壊され、学校でホームレス生活を続けていたハルタを案じてのことだった。だが、姉達におもちゃにされる実家には、ハルタは帰りたくないと言う。急遽始まったハルタの新居探しに、同行するチカたち。これ以上ない好条件の物件が見つかるも、そこは謎の間取りと、奇妙な音の響く不気味なアパートだった。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 菅沼芙実彦
演出 : 菅沼芙実彦
作画監督 : 秋山有希

ハルチカトーク#04 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

ねね、ハルタ。あの500円玉、全部でいくらくらいあったのかな?

ハルタ

あまり金額のことを言うのは、無粋じゃない、チカちゃん?

チカ

そ、そうだけどさ。1982年から天野さんのおじさんが、コツコツ貯めてたっていうから気になっちゃって……。あー、それにしてもあんなに大きな貯金箱、初めて見た~。

ハルタ

確かにアレは、お菓子の家と同じくらい、最高にバカバカしくてハッピーなファンタジーだったね。

チカ

やっぱり、クリスマスには特別な奇跡が起こるってこと!

ハルタ

はぁ…。でも新居が見つかったのは良かったけど、先生の家に泊まれる奇跡は消えちゃったなぁ…。

チカ

邪なことを考える悪い子には、サンタさんはやって来ないのよ。

ハルタ

うぅぅ、チカちゃんに邪扱いされるだなんて……。

チカ

何か言いまして、上条君?

ハルタ

サンタの奇跡は来年に期待しておこう。

チカ

諦めの悪い奴っ! ハルタの邪念が来年も実りませんように、っと!

ハルタ

……チカちゃん、短冊はツリーに飾るものじゃないよ。

#03 「退出ゲーム」

退出ゲーム

新たに吹奏楽部に加わった成島から、有力な部員の心当たりをチカとハルタは聞く。それは、プロのサックス奏者を父に持ち、自身の腕も確かなマレン・セイという生徒だった。早速、チカたちはマレンを勧誘に向かったのだが、彼は既に演劇部に入部していた。しかしどこか翳りのあるマレンは、演劇に熱心なわけでもなさそう。マレンを吹奏楽部に引き抜こうとしたチカの前に、演劇部部長の名越が立ちはだかる。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 橋本昌和
演出 : 石川俊介
作画監督 : 山本径子

ハルチカトーク#03 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

面白かったね、アドリブのお芝居。ちょっと緊張しちゃったけど。

ハルタ

緊張ってどこが? 昔っからチカちゃんの肝の据わりっぷりには感心するよ。

チカ

演劇部に勝ったし、これであとはマレンがうちに来てくれたらいいよね。

ハルタ

成島さんのオーボエに、マレンのサックス…少しは形になってくるかな。

チカ

ねっ! よーし、秋の大会、夢は大きく全国優勝よ!

ハルタ

あのね、チカちゃん。前も言ったように、僕達はまだまだ人数が足りていないんだ。それは無理だよ。

チカ

弱気はダメよ、ハルタ。いくら人が少なくったって、そこはガッツと根性で……。

ハルタ

どっちも同じじゃないか。肝心なことを忘れがちなチカちゃんのためにもう一度説明するね。

チカ

むっ…ヤ~な言い方。

ハルタ

コンクールには大編成のA部門と、小編成のB部門があるんだ。それぞれの上限は55人と30人。

チカ

あ、思い出した。小編成のB部門は、地方大会までしか行けなかったんだっけ。

ハルタ

そうだよ。大体、人数が少なければそれだけ不利になる。譜面も少人数でも映えるよう、綿密に計算されたアレンジが必要になるし、それに……。

チカ

それに?

ハルタ

力不足の人もすぐに目立っちゃうからね。誰かさんの演奏みたいに。

チカ

じ、自分でもわかってるもん! ハルタはいつも、一言多いんだからっ。

ハルタ

わわっ! そのすぐに蹴るクセ、直した方がいいよ、チカちゃん!

#02 「クロスキューブ」

クロスキューブ

あまりに少人数なため、コンクールへの出場すら危ういチカたちの吹奏楽部。部員を確保しようと、チカは勧誘活動に余念がない。中でも、全国大会に出場経験のあるオーボエ奏者・成島美代子は、普門館を目指すチカやハルタたちにとって、どうしても欲しい人材だった。ハルタと共に、成島の元へと向かったチカだったが、当の本人は「もう吹奏楽をやるつもりはない」とそっけない態度。困ったチカに、ハルタはある策を提案する。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 倉川英揚
演出 : 倉川英揚
作画監督 : 鈴木理沙/高木晴美/石井かおり

ハルチカトーク#02 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

はぁ~、良かったぁ。成島さんが、無事に入部してくれて!

ハルタ

そうだね、僕もホッとしたよ。

チカ

ねぇ、ハルタ。もしキューブにあのメッセージがなかったら、どうするつもりだったの?

ハルタ

確かに少し賭けではあったけど、聡君なら必ず、彼女をの背中を押す言葉を残していると信じたんだ。

チカ

そのための、真っ白いキューブ……。

ハルタ

うん。新しい色で染めることが、そのための仕掛け…だったら、って。

チカ

はぁ~、ハルタってホント、すごいよね。

ハルタ

えっ、どうしたの、チカちゃん。

チカ

西川さんのことだって、4月から知ってたわけでしょ? 記憶力も発想も人一倍だし。

ハルタ

チカちゃんに褒められるなんて、明日は雪でも降るんじゃないかな。

チカ

ムッ…。

ハルタ

成島さんにはずっと目を付けてたからね。西川さんのことも、それだけのことだよ。

チカ

ふ~ん、でもさー、だからってその友達の動向まで把握してたなんて、ちょっとストーカーっぽくな~い?

ハルタ

ふぅ、やっぱり明日もいつも通りの天気みたいだ。

#01 「メロディアスな暗号」

メロディアスな暗号

高校入学を機に、バレーボール部漬けだった生活から一転、フルートが似合うようなキュートガールを目指すチカ。音楽講師である草壁先生に心をときめかせつつ、幼なじみのハルタとの再会も果たす。
既に吹奏楽部に入学していたハルタと共に、音楽室へ向かったチカだったが、そこに待っていたのは、草壁先生に宛てられた謎の手紙と、血のように赤い絵の具で黒板に書かれた音符という、不気味な謎だった。

脚本 : 吉田玲子
絵コンテ : 橋本昌和
演出 : 太田知章
作画監督 : 大東百合恵

ハルチカトーク#01 ♪ネタバレを含むため、視聴後にご覧下さい

チカ

えーっと…ドの2でAだから「あ」でしょ? ラ#の3だと…Nになって、もう一つはまたドの2だからAで「な」……

ハルタ

どうしたの、チカちゃん? 譜面とキーボードとにらめっこして。

チカ

あ、ハルタ。もう一回自分でも、あの楽譜の暗号を解いてみようと思って。

ハルタ

復習だなんて、チカちゃんにしては珍しい。どっちかっていうとリベンジの復讐って言葉の方が似合うはずなのに……。

チカ

あんたねぇ……その可愛い顔を、ハチと蚊とアブに襲撃されたような顔にしてあげてもいいのよ?

ハルタ

ま、まぁ、落ち着いてよ、チカちゃん。せっかく振り返ってるんなら、僕も手伝うからさ。

チカ

あら、そう? 最初からそういう姿勢でいればいいのよ。

チカ

それにしてもどうして、わざわざあんなに回りくどい暗号なんかでメッセージを作ったのかな。

ハルタ

文字だったとしても、直接自分の気持ちを伝えるのには勇気が要ったんじゃないかな。音楽室に暗号を残せば先生の目にも止まる。そしてきっと、草壁先生なら、それに向き合って、隠された気持ちまで汲み取ってくれるって思ったんだよ、きっと。

チカ

ふ、ふ~ん、ずいぶん乙女チックな思考をするのね、ハルタ。

ハルタ

そう…だね。多分僕も、恋をしてるから、かな。……負けないからね、チカちゃん。

チカ

やだ! こんな不毛な恋のライバルなんて、いらない!